サブネット計算は、CCNAやネットワーク学習で多くの人が最初につまずくポイントです。2進数やサブネットマスクが出てきた瞬間に「うわ、無理かも」と感じた人もいるかもしれません。
でも安心してください。サブネット計算は、仕組みと手順さえ押さえれば、決して難しくありません。この記事では、現役ネットワークエンジニアとして、計算のやり方を手順どおりにわかりやすく解説します。あわせて、速く解くコツや「試験と実務での扱いの違い」も正直にお伝えします。
- サブネット計算で「求めるもの」の全体像
- 2進数・CIDR・サブネットマスクの読み方
- ネットワーク/ブロードキャスト/ホスト数の求め方とコツ
サブネット計算で「求めるもの」を先に知る

2進数やサブネットマスクで“無理かも”と感じる人が多いところですが、実は求めるものは4つだけ。ゴールを先に知ると、一気に見通しが良くなります。

- ネットワークアドレス:そのネットワーク自体を表すアドレス(機器には割り当てない)
- ブロードキャストアドレス:ネットワーク内の全機器への一斉送信用アドレス(機器には割り当てない)
- 利用可能なホストの範囲:実際にPCやサーバーに割り当てられるIPアドレスの範囲
- 利用可能なホスト数:その範囲に何台つなげるか
この4つを、IPアドレスとサブネットマスク(またはCIDR表記)から導くのがサブネット計算です。
前提:IPアドレスは「ネットワーク部」と「ホスト部」に分かれる
IPv4アドレスは、32ビットの数値です。「192.168.1.10」のように、8ビットずつ4つに区切って10進数で表記します(この8ビットのかたまりを「オクテット」と呼びます)。
この32ビットは、「ネットワーク部」(どのネットワークか)と「ホスト部」(その中のどの機器か)に分かれています。住所でいえば、ネットワーク部が「市区町村」、ホスト部が「番地」のイメージです。
そして、どこまでがネットワーク部かを示すのがサブネットマスクです。たとえば「255.255.255.0」なら、先頭24ビットがネットワーク部、残り8ビットがホスト部、という意味になります。
このサブネットマスクを「/24」のように、先頭から数えたネットワーク部のビット数で表すのがCIDR(サイダー)表記です。「/24」は「先頭24ビットがネットワーク部」を意味し、「255.255.255.0」と同じことを表しています。
ステップ1:2進数の「ビットの重み」を覚える
サブネット計算の土台は2進数です。といっても、難しい変換を毎回やる必要はありません。1オクテット(8ビット)の各桁の「重み」を覚えるだけで、ぐっと楽になります。
| ビット位置 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 重み(10進数) | 128 | 64 | 32 | 16 | 8 | 4 | 2 | 1 |
この「128・64・32・16・8・4・2・1」は丸暗記してOKです。これさえ頭に入れば、2進数と10進数の変換は「足し算」だけでできます。立っているビット(1のところ)の重みを足すだけです。
たとえば、2進数「01100100」を10進数にするなら、立っているビットは「64」「32」「4」の位置なので、64+32+4=100。これで「01100100=100」とわかります。
慣れてくると、「64と32を足して96」のように、よく出る組み合わせが瞬時に出るようになります。この「足し算で出す」感覚をつかむのが、速く解く一番のコツです。丸暗記というより、九九のように「1つ覚えれば応用が利く」イメージで身につけてください。
ちなみに私の場合、サブネット計算でつまずかなかったのは、先に基本情報技術者の勉強で2進数に触れていたからだと思います。もし今2進数が苦手なら、画面で眺めるより、紙に書いて手を動かして覚えるのが無難です。サブネットは手書きで練習したほうが、確実に定着します。
ステップ2:CIDRとサブネットマスクの対応を押さえる
次に、CIDR表記とサブネットマスクの対応です。よく使うものを表にまとめました。
| CIDR | サブネットマスク | ホスト部ビット数 | 利用可能ホスト数 |
|---|---|---|---|
| /24 | 255.255.255.0 | 8 | 254 |
| /25 | 255.255.255.128 | 7 | 126 |
| /26 | 255.255.255.192 | 6 | 62 |
| /27 | 255.255.255.224 | 5 | 30 |
| /28 | 255.255.255.240 | 4 | 14 |
| /29 | 255.255.255.248 | 3 | 6 |
| /30 | 255.255.255.252 | 2 | 2 |
第4オクテットのマスク値(128・192・224・240…)は、さきほどの重みを上位から足したものです。/25なら128、/26なら128+64=192、/27なら128+64+32=224、という具合。ここでも足し算の感覚が活きます。
ステップ3:ネットワークアドレスを求める(AND演算)
ネットワークアドレスは、IPアドレスとサブネットマスクを2進数で並べて「AND演算」すると求まります。AND演算は「両方が1のときだけ1、それ以外は0」というルールです。
例として「192.168.10.100 /26」を計算してみます。/26のマスクは255.255.255.192。変化するのは第4オクテットだけなので、そこに注目します。
- IPの第4オクテット 100 = 01100100
- マスクの第4オクテット 192 = 11000000
- AND演算の結果 = 01000000 = 64
よって、ネットワークアドレスは192.168.10.64です。第1〜第3オクテットはマスクが255(すべて1)なので、IPの値がそのまま残ります。
毎回AND演算するのが面倒なら、「ブロックサイズ」を使う近道もあります。ブロックサイズ=256−マスク値。/26なら256−192=64です。
つまりネットワークは「0・64・128・192」と64刻みで区切られます。100は「64〜127」の範囲に入るので、ネットワークアドレスは64の側、つまり192.168.10.64。同じ答えにたどり着けます。
ステップ4:ブロードキャストアドレスとホスト範囲を求める
ネットワークアドレスが分かれば、あとは芋づる式です。
- ブロードキャストアドレス:次のネットワークアドレスの1つ手前。192.168.10.64の次は128なので、ブロードキャストは128−1=192.168.10.127。
- 利用可能なホスト範囲:ネットワークアドレスとブロードキャストの「間」。つまり192.168.10.65 〜 192.168.10.126。
ステップ5:利用可能ホスト数を求める(2のn乗−2)
そのネットワークに何台つなげるか(利用可能ホスト数)は、次の式で求めます。
利用可能ホスト数 = 2 の(ホスト部ビット数)乗 − 2
「−2」は、ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスの2つを除くためです。たとえば/26ならホスト部は6ビットなので、2の6乗=64、そこから2を引いて62台。先ほどの早見表の数字は、すべてこの式から出ています。
必要な台数からCIDRを逆算するときも、この式が基準になります。「50台つなぎたい」なら、2の6乗−2=62台が収まる/26を選ぶ、という考え方です。
速く・正確に解くためのコツ
ここまでの手順を、現役目線のコツとして整理します。
- 「128・64・32・16・8・4・2・1」を暗記し、足し算で変換する。これが全ての土台です。
- 変化するオクテットだけに注目する。マスクが255の部分はIPがそのまま残るので、計算する必要はありません。
- ブロックサイズ(256−マスク値)で区切りを把握する。AND演算を毎回せずに済みます。
- 紙に書いて練習する。頭の中だけでやろうとすると桁を間違えます。最初は手書きが無難です。
試験と実務で、計算の「扱い方」は違う

正直に言うと、実務では確認レベルなら暗算、間違いが許されない場面では迷わず計算ツールを使います。手計算に意地を張ってミスするほうが、プロとしては危ういので。
最後に、現役としての本音を正直に書きます。サブネット計算は、試験と実務で求められるものが少し違います。
試験では、ツールを使えないので、自力で手早く計算する力が必要です。だから上のコツを身につけて、紙の上でスラスラ解けるようにしておく価値があります。
一方、実務では少し事情が変わります。私の場合、ちょっとした確認は暗算で済ませますが、コンフィグ(機器設定)を作るときなど「間違いが許されない場面」では、計算ツールを使います。手計算にこだわってミスをするより、ツールで確実に出すほうがプロとして正しい判断だからです。
つまり、実務で本当に大事なのは「一瞬で暗算する速さ」ではなく、「何を計算しているのか、仕組みを理解していること」です。仕組みが分かっていれば、ツールの結果が正しいかも判断できます。試験のために計算術を磨きつつ、その裏にある仕組みをしっかり理解しておく——これが、試験にも実務にも効く学び方です。
CCNAの知識が実務でどう使われるか(どこまで暗記が必要で、どこからツールでいいのか)は、別記事でも詳しく書いています。

まとめ:仕組みを押さえれば、サブネット計算は怖くない
- サブネット計算で求めるのは、ネットワークアドレス・ブロードキャストアドレス・ホスト範囲・ホスト数の4つ。
- 土台は2進数。「128・64・32・16・8・4・2・1」を暗記し、足し算で変換する。
- ネットワークアドレスはAND演算、またはブロックサイズ(256−マスク値)で求められる。
- ブロードキャストは次のネットワークの1つ手前、ホスト範囲はその間。
- 利用可能ホスト数は「2のn乗−2」。
- 試験は手計算の速さ、実務は仕組みの理解+ツールの使い分け。大事なのは「仕組みが分かっていること」。
サブネット計算は、最初こそ難しく見えますが、手順を分解すれば必ずできるようになります。まずは紙とペンで、今日の例題を自分の手で解いてみてください。手を動かすほど、確実に身につきます。


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