「ネットワークエンジニア 未経験 きつい」——そう検索して、この記事にたどり着いたのだと思います。やめとけという声も多くて、不安になりますよね。
現役のネットワークエンジニアとして、脅すことも、きれいごとで誤魔化すこともせず、正直に書きます。結論から言うと、「きつい」のは事実です。でも、そのきつさには種類があって、正体を知れば対処できます。やみくもに怖がる必要はありません。
- 未経験の「きつい」2種類(設計/運用)
- 運用スタートの「ぬるま湯の罠」
- きつさを乗り越える人と辞める人の差
結論:未経験の「きつい」には2種類ある
多くの記事は「夜勤がきつい」「トラブル対応がきつい」と表面的な話で終わります。でも、現場を見てきた立場から言うと、未経験者が本当に向き合うことになる「きつさ」は、最初の配属で大きく2種類に分かれます。
- 設計・上流からスタートする「きつさ」:レベルが高く、追い詰められる
- 運用からスタートする「きつさ」:楽だが、成長できない(=ぬるま湯の罠)
そして厄介なことに、どちらにも罠があります。順番に、現場のリアルを説明します。
大前提:最初の配属には「運」もある
正直に打ち明けると、私自身は運が良かったほうです。新卒のとき、いきなり設計寄りの日勤案件にアサインされました。今思えば、かなり恵まれていたと思います。
一方、同じ時期に入った周りの仲間の多くは、最初は運用からのスタートでした。つまり、同じ未経験スタートでも、どこに配属されるかで最初の数年がかなり変わるのが現実です。ここに運の要素があるのは、否定できません。
だからこそ、配属先(現場)の質はとても重要です。この点は転職の記事でも詳しく書いているので、あわせて読んでみてください。
パターン1:設計・上流スタートのきつさ
いきなり設計や上流に入れるのは、一見ラッキーに思えます。実際、成長は早い。でも、その分きついです。私自身、最初は「急流に身を任せている」ような感覚で、必死に食らいついていました。
上流では、理詰めで考える癖をつけさせるために、先輩から「なんで?」「どうして?」と何度も問い詰められます。これは成長のために必要なことなのですが、精神的にはかなりこたえます。
そして、ここで大きいのが「指導者ガチャ」です。
- ちゃんとした人に当たる:問い詰められても納得感があり、そこまできつくない。むしろ伸びる。
- キツい人に当たる:詰め方がきつく、精神的に大変。
- 放置される:これが一番きつい。聞ける人がいないまま、わからないことを抱えて溺れる。
設計スタートのきつさは、能力よりも「どんな先輩・現場に当たるか」で大きく変わります。もし良い指導者に恵まれたら、それは本当にラッキーだと思ってください。
パターン2:運用スタートの「ぬるま湯の罠」
一方、運用(監視・保守)からのスタートは、最初はずっと楽です。手順書に沿って作業を覚えればいいので、ゆっくり仕事に慣れていけます。「こんな仕事内容で、こんなにお給料もらえるんだ」と感じる場面すらあります。
でも、ここに最大の罠があります。運用は、別名「ぬるま湯」です。
居心地が良いので、ついそのまま安住してしまう。でも、ぬるま湯体質になってはいけません。監視や定型作業をいくら続けても、設計や構築のスキルは身につかず、市場価値はいつまで経っても上がらないからです。
「楽だから」とこの環境に何年も浸かってしまうと、気づいたときには市場で戦えるスキルが何もない、という状態になりかねません。楽なことと、成長できることは、まったく別物です。これは声を大にして伝えたい、現場のリアルです。
運用で直面する「実機を触れない」問題
運用スタートのきつさには、もうひとつ見落とされがちな問題があります。それが「実機を触りたいのに、触れない」というジレンマです。
CCNAを取って「さあ機器を設定するぞ」と意気込んで現場に出ても、現実は違います。本番機は、簡単には触らせてもらえません。落とせない設備なので当然です。日々の仕事は監視や手順書どおりの確認作業ばかりで、自分で設定変更を行う場面までなかなか到達しない。これは多くの未経験者がぶつかる、地味だけれど大きなギャップです。
では、どうするか。私のおすすめは、中古の実機を自分で買って、家で触ることです。
現場で触れないなら、自分で環境を作ってしまえばいい。中古のルータやスイッチは、それほど高くなく手に入ります。本物の機器を自分の手で設定し、つなぎ、壊して直す——この経験は、シミュレータだけでは得られない確かな力になります。プロを目指すなら、家に実機を持つことは本当に大事だと、私は思っています。これは「ぬるま湯」から抜け出すための、自分でできる一番現実的な行動でもあります。
乗り越えられる人と、辞めてしまう人の差
では、この「きつさ」を乗り越えられる人と、辞めてしまう人は、何が違うのか。現場を見てきた実感としては、こうです。
- 設計スタートで生き残る人:詰められても折れずに食らいつき、「なんで?」を自分の力に変えられる人。
- 運用スタートで伸びる人:ぬるま湯に流されず、「ここに居続けたら市場価値が上がらない」と自覚して、自分から学び続け、次のステップを取りにいく人。
共通しているのは、「環境のせいにせず、自分から動けるか」です。きつい現場でも食らいつく、ぬるい現場でも自分で負荷をかける。この姿勢がある人は、最初がどちらのパターンでも、ちゃんと伸びていきます。逆に、流されるままの人は辞めていく。資格を取った後にどう動くかが大事、という話とまったく同じです。
余談:学歴の壁はあるが、それで決まりではない
正直な話をひとつ。大手企業の上流工程を見ると、大卒以上のいわゆる「エリート」が多いのは事実です。私も現場で「学歴の壁って、あるんだな」と感じた場面はありました。
でも、ここで絶望する必要はありません。学歴が効くのはあくまで「入口」の話です。私自身、エリートコースで入ったわけではなく、運よく入れた現場で必死に食らいついてきました。いったん業界に入ってしまえば、その後の市場価値は、学歴ではなくスキルと姿勢で作れます。
入口に多少の差があっても、入った後にどう動くかで、いくらでも巻き返せる世界です。だから、学歴を理由に最初からあきらめるのは、もったいないと思います。
まとめ:きつさの正体を知れば、対処できる
- 未経験の「きつい」は2種類。設計スタート(追い詰められる)と運用スタート(ぬるま湯)。
- 設計スタートは「指導者ガチャ」が大きい。放置が一番きつい。
- 運用スタートは楽だが、安住すると市場価値が上がらない。ぬるま湯体質になるな。
- 「実機を触れない」問題は、中古実機を家で買って自分で環境を作れば打開できる。
- 乗り越える人の共通点は「環境のせいにせず、自分から動けること」。
- 学歴の壁は入口の話。入った後はスキルと姿勢で巻き返せる。
ネットワークエンジニアは、確かにきつい場面のある仕事です。でも、その「きつさ」は得体の知れないものではなく、正体がはっきりしています。正体がわかれば、身構え方も、抜け出し方もわかる。脅し文句に惑わされず、自分から動ける人にとっては、ちゃんと道が拓ける仕事です。


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