SESの引き抜きは現場で一番多い|引き抜きで今の職場に来た現役が書く、声がかかる人と揉める理由

SESの引き抜きは現場で一番多い|引き抜きで今の職場に来た現役が書く、声がかかる人と揉める理由 取得後のキャリア・転職

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SESの引き抜きについて調べると、上位に出てくるのは「引き抜きは違法か」「トラブルを避けて採用するには」といった、採用する企業向けの解説が中心です。引き抜かれる側のエンジニアが、現場で実際に何が起きているかを書いた記事は多くありません。

私は2014年から、ネットワークエンジニアとして客先に常駐する働き方を続けてきました。常駐先でSESや派遣のメンバーを受け入れる側も経験しています。そして、私自身、今の職場には引き抜きで入りました。

この記事では、引き抜かれた当事者と、受け入れる側の両方の立場から、声がかかる人の特徴、揉める理由、声をかけられたときに先に確かめることを書きます。

結論:現場では引き抜きがいちばん多い。ただし揉めることも多い

現場で見てきた転職のルートでは、引き抜きがいちばん多いです。一方で、揉める例もとても多く、特に引き抜かれた側の会社が激怒するパターンをよく見ます。

引き抜きは、エージェントや求人サイトを通す転職とはまったく違う動き方をします。声がかかるかどうかは、スキルの高さだけでは決まりません。そして、声がかかったあとに一番気をつけるべきなのは、法律よりも会社同士の関係です。順番に書いていきます。

現場では、引き抜きがいちばん多い

SESを辞めた人の行き先として、私がいちばん多く見てきたのは別のSES企業です。そして、その多くが声をかけられて移る、引き抜きに近い形でした(SESを辞めたいと思ったらにも書きました)。

常駐先の会社や、同じ現場にいる別の会社の人から「うちに来ないか」と声がかかる。転職サイトの記事ではあまり大きく扱われませんが、ネットワークの現場では、これがごく普通に起きています。私自身もそうやって今の職場に来ました。

理由は単純で、一緒に働いた人のことは、職務経歴書よりずっとよく分かるからです。どんな仕事ぶりで、何が得意で、どんな人柄か。採用する側にとって、これほど確かな判断材料はありません。

引き抜かれやすい人と、声がかからない人の違い

では、声がかかる人とかからない人は何が違うのか。技術力はもちろん前提になります。ただ、技術があっても声がかからない人はいます。私が見てきた差は、その人が「どうしたい人なのか」が周りに知られているかどうかでした。

相手の中に、あなたの「像」ができているか

仕事以外の話ができる場では、お金をどうしたいか、キャリアをどうしたいか、といった話が自然に出ます。そういう話を重ねると、相手の中で「この人はこういう人で、こうしたいと思っている」という像がはっきりしてきます。私はこれを、相手の中でその人の解像度が上がる、と考えています。

解像度が上がると、仕事も円滑になります。そして、その人の希望に合う話があったときに、「あの人なら」と声がかかります。逆に、表面上の付き合いだけでは、仕事で引っ張られることはまずありません。挨拶と業務連絡を何度重ねても、相手はあなたが何をしたいのかを知らないままだからです。

飲み会と、2次会の話

サイト主
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時代錯誤に聞こえると思いますが、飲み会にちゃんと参加すること、さらに2次会以降にも参加することは、めちゃくちゃ大事だと思っています。お酒は飲まなくていいです。ソフトドリンクで参加している人もいますし、「参加したい」と言っておくだけでも違います。

飲み会が効くのは、仕事以外の話をするための雰囲気づくりを、わざわざしなくていい場だからです。2次会はさらに人数が絞られるので、話が深くなり、相手の解像度が上がりやすくなります。

もちろん、飲み会という手段を選ばないのは自由です。ただ、「飲み会は時代遅れ」と言いながら、ほかの場でも周りと話す機会を持っていないなら、声がかからないのは当然です。昼食でも、作業の合間の雑談でもかまいません。自分がどうしたいかを、誰かに知ってもらう場を持っているかどうかが分かれ目です。

引き抜きは法律上どう扱われるか(派遣とSESで違う)

引き抜きについて一番よく調べられているのが、違法かどうかです。ここは契約の形で整理が変わります。この記事は法的な助言ではないので、個別の判断は労働局や弁護士に相談してください。

派遣の場合:派遣元は「派遣先への転職」を禁じる契約を結べない

労働者派遣法33条は、派遣元の会社が、正当な理由なく、派遣元との雇用関係が終わったあとに派遣先に雇用されることを禁じる契約を結んではならない、と定めています。派遣労働者本人との契約も、派遣先の会社との契約も、どちらも対象です。

注意したいのは、この条文が「派遣元との雇用関係の終了後」の話だという点です。派遣元に在籍したまま派遣先に移れる、という意味ではありません。辞める手続きと引き継ぎを済ませてから移る、という順番になります。

SES(準委任)の場合:契約書と誓約書の中身による

33条は派遣の規定なので、準委任のSESにはそのまま当てはまりません。SESでは、会社同士の契約に引き抜きを禁じる条項が入っていたり、入社時に競合への転職を制限する誓約書を書いていたりすることがあります。その条項がどこまで有効かは、内容や期間によって変わるので、ここでは断定しません。

まずは自分が何に署名しているかを確かめてください。雇用契約書、就業規則、誓約書の3つです。自分の契約が派遣か準委任かの確かめ方は客先常駐を辞めたいと思ったらに書いています。

揉めるのは、引き抜かれた側の会社が激怒するとき

引き抜きで揉める例は、本当に多いです。特に多いのは、引き抜かれた側、つまり元の所属会社が激怒するパターンです。

所属会社から見れば、常駐していたメンバーがいなくなると、その案件の売上がなくなります。しかも、取引先だった常駐先や、同じ現場の会社に人を持っていかれる形になります。会社同士の関係がこじれるのは、ある意味で当然です。

そのため現場では、いったん別の会社を経由してから本命の会社に入る、という形がよく取られています。直接移ると所属会社との関係がこじれやすいからです。

別の会社を経由するのは、会社同士の関係をこじらせないための現場の知恵であって、契約上の取り決めをすり抜ける方法ではありません。誓約書や契約に制限がある場合は、経由したかどうかに関係なく内容を確認し、迷ったら相談窓口を使ってください。

揉めないために一番大事なのは、抜け方です。受け入れる側として困るのは、「今抜けられると困る」というタイミングで抜けられることでした。引き継ぎの資料を残し、後任に説明する時間を取ってから移る。引き抜きでも、普通の転職でも、ここは変わりません。

声をかけられたら、先に確かめること

声がかかると、うれしくてすぐに話を進めたくなります。ただ、引き抜きは、相手が条件を提示してくる交渉です。自分の相場を知らないまま乗ると、提示された条件が良いのか悪いのか判断できません。

  1. 自分の経験が、外の市場でどのくらいの年収で評価されるか
  2. 移った先で担当できる工程(保守だけか、構築・設計まであるか)
  3. 雇用の形(正社員か、また派遣や準委任での常駐か)
  4. 今の契約書・就業規則・誓約書に、転職先の制限がないか

このうち1つ目は、自分だけでは分かりません。人脈で声がかかる人ほど、実は自分の相場を知らないことが多いです。私も、エージェントを使って自分の値段を確かめたことはありませんでした。だからこそ、声がかかったら、話を進める前に転職エージェントで相場を確かめておくことを勧めます。エージェントは経歴だけでフラットに見るので、厳しい評価が返ってくることもありますが、それも含めて比較の材料になります。

実務経験のある人なら、ITエンジニア専門の転職支援サービスで、今の経験がどのくらいの条件の求人につながるかを聞くことができます。

相談したからといって転職しなければいけないわけではありません。引き抜きの話と比べるための物差しとして使ってかまいません。なお、このサービスは実務経験のあるITエンジニア向けで、求人は首都圏が中心です。

引き抜かれた人は、その後どうなったか

引き抜きで移った人の話を聞くと、だいたいは良くなったと言っていました。声をかけた側が、その人の仕事ぶりを分かったうえで呼んでいるので、移った先で期待と実力がずれにくいのだと思います。

ただ、全員ではありません。技術が身についていないまま移って、「前の現場のほうが年齢的に働きやすかったね」となった人もいました。声がかかったことと、移った先でやっていけることは別の話です。担当する工程と、自分の技術が見合っているかは、移る前に確かめてください。

よくある質問

引き抜きで給料は上がりますか

移った人の多くは「良くなった」と言っていましたが、給料がいくら上がるかは交渉次第です。自分の相場を知らないと、提示された金額が高いのか安いのかも判断できません。ネットワークエンジニアの年収の目安はネットワークエンジニアの年収にまとめています。

若手でも声はかかりますか

かかります。見られているのは年数よりも、一緒に働いてどう感じたかです。受け入れる側として評価していたのは、技術・素直さ・雑談の3つでした。若手のうちは技術の差がつきにくい分、素直さや、周りと話せているかがよく見られます。

引き抜きの話を、今の会社に相談してもいいですか

引き抜きの話をそのまま所属会社に伝えると、会社同士の関係に影響することがあります。まずは自分の契約書・就業規則・誓約書を確認し、移るかどうかを自分で決めてから、退職の意思として所属会社に伝えるのが一般的な順番です。迷う場合は、労働局の総合労働相談コーナーなどの窓口に相談してください。

まとめ:声がかかる準備と、揉めない抜け方

  • ネットワークの現場では、引き抜きがいちばん多い転職ルート。私自身も引き抜きで今の職場に来た
  • 声がかかるかどうかは、自分がどうしたいかが周りに知られているかで決まる。表面上の付き合いでは引っ張られない
  • 派遣なら、派遣元は派遣先への転職を禁じる契約を結べない(派遣法33条)。SESは契約書と誓約書の中身による
  • 揉めるのは、引き抜かれた側の会社が激怒するとき。引き継ぎを済ませて抜ける
  • 声をかけられたら、話を進める前に自分の相場を確かめる

首都圏以外にお住まいの人や、実務経験がまだ浅い人は、まず大手の総合型転職エージェントで求人の全体像を見るところから始めてください。

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