私はCCNAに一度落ちています。もう10年ほど前の話です。
その後スクールに通って合格し、ネットワークエンジニアとして現場で10年やってきました。今はチームを持って、後輩に資格を勧める側になっています。
合格体験記はたくさんありますが、そのほとんどは受かった直後に書かれたものです。この記事は少し違います。10年経った今、あのとき何を間違えていたのか、あの勉強に意味はあったのかを振り返ります。

合格体験記ってよく見ますけど、落ちた話ってあまりないですよね。

受かった直後に書く人が多いですからね。私は10年前に落ちた側なので、そこから振り返ってみます。
10年前、私はCCNAに落ちた
当時の私は、ネットワークの実務経験がほとんどない状態でした。基本情報技術者試験には合格していたので、勉強そのものには慣れているつもりでした。
勉強期間は数か月、時間にして150時間ほど。テキストを読んで、問題を解いて、それなりにやったつもりでいました。
そして、ひとつ重要な事情がありました。受験料は会社が出してくれていました。
これが後から効いてきます。自腹なら「まあ次がんばろう」で済んだかもしれません。でも会社の金で受けている以上、落ちたら報告しなければならない。当時はそこまで深く考えていませんでした。
試験が終わった瞬間、画面に不合格と出た
CCNAは試験が終わるとすぐに結果が出ます。会場を出る前に、画面に合否が表示されます。
試験中の手応えは、悪くありませんでした。分からない問題もありましたが、落ちるほどではないだろうと思っていました。全問解けた自信があったわけではありません。ただ、合格ラインには届いているだろう、という感覚でした。
その状態で、画面に不合格と出ました。
かなり焦ったのを覚えています。悔しいとか情けないという以前に、まず焦った。会社に何て言おう、それが最初に頭に浮かびました。
報告したあとに起きたこと
会社にはすぐ報告しました。正直に言うと、報告した時点ではまだ気楽な感覚が残っていました。「落ちちゃいました、次がんばります」くらいの気持ちです。
ところが、会社の受け止め方は違いました。
呼び出されて、なぜ落ちたのかを問われました。どう勉強していたのか、何時間やったのか、どこが分からなかったのか。かなり細かく聞かれ、そして説教されました。
それだけでは終わりませんでした。その後の飲み会でも、同じ話をヒアリングされました。酒の席なので雰囲気は柔らかいのですが、聞かれていることは同じです。何が足りなかったのか、次はどうするのか。
当時は正直、面倒だなと思っていました。ただ今になって分かるのは、会社は投資として受験料を出していたということです。数万円を払って、社員のスキルが上がることを期待していた。それが不合格という形で返ってきたのだから、理由を確認するのは当然でした。

落ちただけで、そんなに聞かれるものなんですか?

会社からすれば投資ですからね。当時は面倒だと思っていましたが、今なら理由を確認したくなる気持ちは分かります。
これから会社の費用でCCNAを受ける人には、この点を先に知っておいてほしいです。落ちたときに聞かれるのは、あなたの感情ではなく理由です。説明できる状態にしておいた方が、後が楽になります。
当時思っていた敗因:「勉強不足だった」
説教されている最中、私が答えたのは「勉強が足りませんでした」でした。
これは間違いではありません。150時間やったといっても、内容を完璧に覚えきれてはいませんでした。もっと時間をかけていれば受かった可能性はあります。
ただ、この認識には決定的に抜けているものがありました。足りなかったのは時間ではなく、やり方の方だったということです。
当時はそこに気づいていませんでした。だから「次はもっと時間をかけよう」という結論になっていました。もし同じやり方のまま時間だけ増やしていたら、2回目も危なかったと思います。
10年経って分かった本当の敗因
今なら、はっきり言えます。
暗記すればいいと思っていたことが、根本的な間違いでした。
用語を覚え、コマンドを覚え、問題の答えを覚える。そういう勉強をしていました。試験は選択式なのだから、パターンを覚えれば解けるだろうと考えていたのです。
ところが本番では、覚えたパターンから少しずれた聞かれ方をされると、途端に手が止まりました。「この用語は知っている、でもこの場面でどう働くのかは分からない」という状態です。
そして重要なのは、これは私個人の話だということです。暗記型で受かる人もいると思います。記憶力で押し切れる人はいる。ただ私はそうではなかった。自分に合わないやり方を選んでいたのが、本当の敗因でした。
ちなみに、よくネット上で「CCNAの合格率は20〜30%」といった数字を見かけますが、Ciscoは合格点も合格率も公表していません。あれは受験者の体感や推測です。自分が落ちた理由を「合格率が低いから」で片付けると、次も同じ場所で落ちます。
2回目、スクールに通って受かった
1回落ちたあと、私はスクールに通いました。このときも費用は会社が負担してくれました。
そして、通ったらすぐに合格できました。
何が違ったのか。スクールは試験に受かるための勉強を教えてくれました。基礎をテキストで学び、演習で理解を確認し、最後に出る範囲を押さえた仕上げの教材で固める。この流れです。
正直に言うと、そこで学んだ内容がほとんどそのまま出題されて驚きました。独学のときに感じていた「やったところが出ない」という感覚とは正反対でした。
ただ、これはスクールでなければ無理という話ではありません。やっていたのは「出る範囲を押さえて仕上げる」という工程です。独学でも、問題集や模擬試験をその意識で使えば同じ状態には持っていけます。私は1回目にそれをやらなかった、というだけの話です。

現場に出て気づいたこと:結局、勉強しなおした
ここからが、10年経った今だから書ける話です。
合格して現場に出たあと、「これは試験でやったな」と思う場面は何度もありました。VLAN、STP、ルーティング。試験範囲で覚えたものが、目の前の構成図に出てくる。
ただ、正直に書きます。結局、現場に出てから全部勉強しなおしました。
試験で覚えた知識は、そのままでは使えませんでした。「STPはループを防ぐ」と知っていても、目の前のスイッチでブロッキングポートがどこに出ているのか、なぜそこなのかは分からない。「VLANでネットワークを分ける」と知っていても、この現場でなぜこの分け方なのかは説明できない。
知識としては持っている。でも使えない。その差を埋めるために、現場で改めて学び直すことになりました。

結局勉強しなおしたなら、資格の意味がないのでは?

そう思いますよね。でも、意味はあったんです。次で説明します。
それでもCCNAをやる意味はある
では、あの勉強は無駄だったのか。そうは思いません。
私の実感では、CCNAで手に入るのは会話をするための言葉です。
現場では、先輩が当たり前のように専門用語を使って話します。「ここトランクにしといて」「STP効いてるからそっちは落ちてるはず」「NATかかってるから見え方が違う」。
このとき、用語を知らないと会話が止まります。一つ一つ聞き返すことになり、話が前に進まない。逆に用語さえ分かっていれば、正確に理解できていなくても会話には入っていけます。そして会話に入れれば、そこから学べます。
CCNAはそのための入場券のようなものだと思っています。深い理解を保証してくれるわけではない。でも、会話のテーブルには着かせてくれる。
逆に言えば、資格を取った時点では、まだスタート地点ということでもあります。私はそこを勘違いしていました。受かれば一人前になれるような気がしていた。実際には、そこからが本番でした。

これからCCNAを受ける人へ
一番言いたいことは、ひとつだけです。
時間をかけて、ちゃんと理解して勉強してください。
効率よく受かる方法を探す気持ちは分かります。私もそうでした。最短で受かりたかったし、暗記で片付くなら片付けたかった。
でも、結局それでは現場で意味がないんです。合格だけが目的なら暗記で乗り切れる部分もあるでしょう。ただ現場に出れば、理解していないことはすぐ分かります。そして結局、勉強しなおすことになる。
具体的には、問題を解いたときに「なぜこの答えになるのか」を一段掘ってください。答えを覚えるのではなく、理由を説明できるようにする。これをやっておくと、試験にも強くなりますし、現場に出たときの学び直しの量が減ります。
遠回りに見えますが、こちらの方が早いです。私は遠回りをしませんでした。だから2回受けることになりました。
まとめ
10年前に落ちた話を振り返って、整理します。
- 150時間勉強して落ちた。試験中は「落ちるほどではない」と思っていた
- 会社の費用で受けていたため、報告後に呼び出されて理由を問われた
- 当時の認識は「勉強不足」。実際は「暗記でいけると思っていたこと」が敗因だった
- 2回目はスクールで出る範囲を押さえて合格した
- 現場に出てから結局すべて勉強しなおした
- それでもCCNAには意味がある。手に入るのは「会話をするための言葉」
今CCNAの勉強をしていて、うまくいっていない人へ。落ちること自体は、そこまで大したことではありません。私も落ちて、その後10年この仕事を続けています。
ただ、落ちた理由を「時間が足りなかった」で片付けないでください。やり方が合っていない可能性があります。そこを見直せるかどうかで、次の結果が変わります。



コメント