SESを辞めたいと思ったら|常駐する側と受け入れる側の両方から見た、辞めて良くなる人・残ればよかった人

SESを辞めたいと思ったら|常駐する側と受け入れる側の両方から見た、辞めて良くなる人・残ればよかった人 取得後のキャリア・転職

※本記事にはプロモーションが含まれます。

SESを辞めたい。そう思ってこの記事を開いた人に、最初に私の立場を書いておきます。

私は2014年から、ネットワークエンジニアとして客先に常駐する働き方を続けてきました。常駐する側だけでなく、常駐先でSESや派遣のメンバーを受け入れる側も経験しています。そのあいだに、SESを辞めていく人をたくさん見送りました。

この記事は「辞めろ」とも「残れ」とも言いません。書くのは、辞めたあとに状況が良くなった人と、「残ったほうがよかったね」となった人の違いです。どちらになるかは、辞める理由よりも、辞める前の準備でほぼ決まっていました。

なお、客先常駐そのものがつらい理由や、自分の契約形態(派遣か準委任か)の確かめ方は客先常駐を辞めたいと思ったら、最初に確認してほしいことに書きました。この記事では、その先の「どこへ、どう辞めるか」を扱います。

結論:SESを辞めて良くなるかは、辞める前の準備で決まる

SESを辞めた人の多くは、辞めて良かったと言っていました。ただし全員ではありません。

辞めて良くなった人は、準備してから動いた人でした。うまくいかなかった人は、逃げるように辞めた人でした。

ここで言う準備は、資格を取ることではありません。次の会社でどんな工程に関われるかを確かめること、自分の経験が外でどう見られるかを知ること、今の現場に迷惑をかけずに抜ける段取りをつけること。この3つです。順番に書いていきます。

先にひとつだけ。眠れない、朝起きられない、食欲がないといった状態なら、転職活動より先に休んでください。準備は、動ける状態に戻ってからで間に合います。

SESを辞めた人は、実際どこへ転職したか

転職の解説記事では、SESの次の行き先として「自社開発・SIer・社内SE・別のSES・フリーランス」が並べて紹介されることが多いです。私が現場で見てきた行き先は、その並びとは偏りがありました。

いちばん多いのは、別のSES

一番多かったのは、別のSES企業への転職です。しかも、声をかけられて移る、引き抜きに近い形がよくありました。「SESを辞める」は、必ずしも「SESという働き方をやめる」ではありません。実際には、会社を替えて常駐を続ける人がいちばん多いというのが私の実感です。

移った人の話を聞くと、だいたいは良くなったと言っていました。次の章で書くとおり、どのSESに移るかで中身が大きく変わるからです。

引き抜きで声がかかる人の特徴や、元の会社と揉めないための注意はSESの引き抜きは現場で一番多いにまとめました。

SIer、そしてメーカー系

SIerに移る人もいます。さらに優秀な人は、Ciscoのような機器メーカー系の会社に移っていきました。

社内SEは「片道」に近い

社内SEに移る人もいます。ただ、社内SEから構築側に戻ってきた人を、私は12〜13年のあいだに1人しか見ていません。行くこと自体は良い選択になりえますが、戻る前提では考えないほうがいい行き先です。社内SEに移る判断についてはインフラエンジニアから社内SEへに詳しく書きました。

社内SEがきつくなる会社の見分け方は社内SEはやめとけ?にまとめています。

辞めて良くなった人と、残ればよかった人の違い

良くなった人は、自分の価値を確かめてから動いていた

うまくいった人に共通していたのは、ちゃんと準備していたことです。常駐先の人や同業の人と飲みに行ったり、日頃から話したりするなかで、自分の経験が外でどう評価されるのかを確かめていました。そのうえで、自分の価値に見合う行き先を選んでいました。

残ればよかった人は、逃げるように辞めていた

うまくいかなかった人は、ほぼ例外なく、逃げるように辞めた人でした。経験もコミュニケーションの蓄積もないまま、とにかく今の場所から離れることを優先した人です。

サイト主
サイト主

言い方は悪いですが、技術の蓄積がないまま移って、「前の現場のほうが年齢的に働きやすかったね」となった人もいました。辞めること自体が悪いのではなく、準備なしに辞めると、次の場所で同じか、もっと苦しい立場から始まることがあります。

これは本人を責める話ではありません。逃げるように辞めるしかないほど追い込まれていたなら、それは現場の問題です。ただ、その状態で次を探すと選べる行き先が狭くなる、というのが見てきた事実です。だから先に休む、動けるようになってから準備する、を勧めています。

次のSESを選ぶなら、「工程の幅」を見る

別のSESに移るとき、何を基準に選ぶか。受け入れる側から見て、良いSES企業と悪いSES企業の差がいちばん出るのは、扱っている工程の幅です。

設計から構築、運用まで幅広い工程の案件を持っていて、社内にナレッジや技術が蓄積されている会社は、そこにいるだけで勉強になります。反対に、保守・運用の案件しか持っていない会社では、何年いても担当できる工程が広がりません。

確かめること良いSESの傾向注意したいSESの傾向
案件の工程設計・構築の案件がある保守・運用・監視の案件だけ
社内の技術ナレッジや技術が社内にたくさんある社内にナレッジが蓄積されていない

面接では「設計工程の案件はどれくらいありますか」「ネットワークの設計ができる社員は社内に何人いますか」と聞いてみてください。答えが具体的に返ってくる会社は、実際にその案件を持っています。

次の会社に移ったあと、常駐先との面談で見られていることはSES面談は何を見られている?に書きました。

設計や構築の経験があり、年収や担当工程を上げる転職を考えている人向けに、ITエンジニア専門の転職支援サービスがあります。

相談したからといって転職しなければいけないわけではありません。自分の経験が外でどう評価されるかを確かめる場として使ってもかまいません。なお、このサービスは実務経験のあるITエンジニア向けで、求人は首都圏が中心です。

受け入れる側は、SESの経験のどこを見ているか

常駐先でメンバーを受け入れる立場として、経歴のどこを見ていたかを書きます。ポジションによって変わりますが、傾向ははっきりしていました。

安心できるのは、CCNP以上と設計の経験

資格なら、CCNP以上を持っていると安心感があります。経験なら、設計が盛んな会社にいたことがあると安心します。CCNAとCCNPの差はCCNAとCCNPの違いにまとめています。

CCNA・基本情報と、保守だけの経験は判断材料になりにくい

一方で、CCNAや基本情報技術者は、受け入れる側として評価の決め手にはしていませんでした。持っていて当然という扱いです(CCNAは転職に有利かにも書いたとおり、CCNAは武器というより足切りラインです)。

保守の経験だけが長い経歴も、正直「どうなんだろう」と考えてしまいます。保守が悪いのではなく、保守の経験だけでは、設計や構築を任せられるかが経歴から読み取れないからです。

保守の現場から構築・設計に上がる方法は運用保守から構築・設計へ上がるにはに、設計以上の人が足りていない現場の状況はネットワークエンジニアはオワコン?に書きました。

私の感覚では、設計を経験しないまま年数を重ねるのは、転職でかなりのマイナスになります。最近は「受け身の姿勢」も嫌われると言われます。辞める・辞めないにかかわらず、設計に手が届く現場に移れるかを先に考えてください。

経歴の書き方は職務経歴書の書き方を参考にしてください。保守しか経験がなくても、障害対応で何を切り分けたかを具体的に書けば、読み手に伝わる情報は増えます。

SESを辞めるタイミングと、迷惑をかけない辞め方

案件の切れ目まで待つ必要は、そこまでない

「案件の切れ目で辞めるのがマナー」とよく書かれています。受け入れる側の本音としては、そこまで待ってもらう必要はありません。問題になるのは、ちゃんと引き継げるかどうかです。

困るのは、「今抜けられると困る」というタイミングで抜けられることです。逆に、仕事ができる人は、抜けるときも周りが困らないように抜けていきます。引き継ぎの資料を残し、後任に説明する時間を取り、自分しか知らない作業をなくしてから去る。そういう抜け方です。

退職を伝えるのは、常駐先ではなく所属している会社

SESでは、案件の契約は所属会社と常駐先の会社のあいだで結ばれています。一方、あなたの雇用契約は所属会社とのあいだにあります。辞める話は雇用契約の話なので、最初に伝える相手は所属会社の上司や営業担当です。常駐先に先に話すと、会社間の契約の話と混ざりやすくなります。

何日前に伝えるかは、就業規則で確かめる

期間の定めのない雇用なら、民法627条で、退職の申し入れから2週間で雇用は終了するとされています。ただし大阪労働局は、就業規則に退職の規定がある場合は原則として就業規則の規定が適用されると回答しています(極端に長い期間は無効とされる可能性がある、とも書かれています)。「2週間で辞められる」と決めつけず、まず自分の会社の就業規則を確認してください。

  1. 就業規則で、退職の申し出期限を確かめる
  2. 次の行き先の目処をつける(在籍したまま動くほうが選択肢は残ります)
  3. 所属会社の上司・営業に退職の意思を伝える
  4. 常駐先での引き継ぎ資料を作り、後任への説明の時間を確保する

SESを辞めたほうがいい人、もう少し残ったほうがいい人

辞めたほうがいい人もう少し残ったほうがいい人
保守・運用の案件に固定されていて、工程が広がる見込みがない今の会社で、設計や構築の案件に手が届きそう
周りとの会話で、自分の経験が外でどう見られるかが分かっている自分の経験を外の人に説明できる材料がまだない
次の行き先で担当できる工程を確かめてあるとにかく今の場所から離れたい気持ちが先に立っている
引き継ぎをして抜ける段取りをつけられる体調を崩している(転職より先に休む)

右の列に当てはまるなら、今すぐ辞めるより、準備の期間だと考えてください。残ることは負けではありません。設計に手が届く案件を所属会社に求めてみる、周りの人と話して自分の立ち位置を知る。それだけでも、次に動くときの選択肢は変わります。

よくある質問

新卒・1年目でSESを辞めてもいいですか

辞めること自体は問題ありません。ただ、うまくいかなかった人の多くは、経験もコミュニケーションの蓄積もないまま逃げるように辞めた人でした。体調に問題がないなら、今の現場で担当できる工程を1つ広げてから動くほうが、次の選択肢は増えます。

資格を取ってから辞めたほうがいいですか

CCNAのためだけに辞める時期を遅らせる必要はない、というのが受け入れる側としての考えです。CCNAは持っていて当然という扱いだからです。CCNP以上なら安心感につながりますが、それ以上に見られるのは、設計の現場にいたかどうかです。

案件の途中でも辞められますか

辞める手続きは所属会社との雇用契約の話なので、案件の途中かどうかとは別です。申し出の期限は就業規則を確認してください。ただ、受け入れる側から見て問題になるのは引き継ぎです。途中で抜けるなら、なおさら引き継ぎの段取りを先につけてください。

まとめ:どこへ、どう辞めるかを先に決める

  • SESを辞めて良くなるかは、辞める前の準備で決まる。逃げるように辞めた人ほど、うまくいっていなかった
  • 実際の行き先でいちばん多いのは別のSES。選ぶなら、工程の幅とナレッジのある会社を選ぶ
  • 受け入れる側が安心するのは、CCNP以上と設計の経験。CCNAや保守だけの経験は決め手になりにくい
  • 案件の切れ目まで待つ必要はそこまでない。問題は引き継げるかどうか
  • 退職は所属会社に伝える。申し出の期限は就業規則で確かめる

辞めたい気持ちは、現場の状況に対する正しい反応であることが多いです。その気持ちを、準備して動く方向に使ってください。

首都圏以外にお住まいの人や、実務経験がまだ浅い人は、まず大手の総合型転職エージェントで求人の全体像を見るところから始めてください。

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